悪玉コレステロールってなに?多くても少なくてもダメな理由とは

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「悪玉コレステロールってなに?」って一度は思った人も多いでしょう。悪玉コレステローとは、LDLコレステロールのことで、それ自体は悪いものというわけではなく、体に必要なものです。その働きや、弊害が起こる場合について詳しくご説明しましょう。

悪玉コレステロールって聞いたことあるだけでしょ?

悪玉コレステロールは、その名前だけがよく聞かされていて、体に悪いものという印象ばかり大きいですよね。でも、悪玉(LDL)コレステロールは、細胞膜やホルモンなどを生成するもので、生きていく上で必要不可欠な成分なのです。決して「悪玉」ではないのですが、増えすぎることで様々な病気の因子となり、注意が必要なものでもあります。

コレステロールとは

コレステロールは体全体にあるものです。体内には中性脂肪と脂肪酸、リン脂質とコレステロールという4種類の脂肪がありますが、前の2つはエネルギー源となり、コレステロールはリン脂質とともに、細胞を包む細胞膜の材料となります。

体に重要な役割

コレステロールは体の中で重要な役割をします。体には60兆もの細胞がありますが、これを包む細胞膜をコレステロールが形作っています。また、副腎皮質ホルモンや女性ホルモンの原料や、脂肪を消化する胆汁酸の材料になったりします。さらにビタミンDの合成に使われたりもします。

このコレステロール、7割は肝臓で合成され、他の3割が食事から摂取されています。

善玉(HDL)と悪玉(LDL)がある

悪玉コレステロールとは、LDLコレステロールのことです。これに対し善玉コレステロールはHDLコレステロールと言います。2つは役割の違いで区別され、善悪の違いはありません。

肝臓で合成されたコレステロールは血中に運ばれて利用されますが、このとき新しく使われるコレステロールがLDLコレステロールです。一方、HDLコレステロールは余ったコレステロールを運び出します。不要になってカラダに悪影響を及ぼすコレステロールを、細胞壁から回収する働きをしてくれるのです。

悪玉と善玉のコレステロールの違いは?

簡単に役割の違いをご説明しましたが、もう少し深く掘り下げたいと思います。

作られる場所

コレステロールは主に肝臓で合成されます。この時点ではLDLとHDLの違いはありません。その割合は全体の7割で、そのほかの3割は食事から摂取され、その量は1日に300~500mg程度とされています。通常は、全体量がちょうどよくなるようになるように調整されます。もし食事でたくさんコレステロールを摂ると、体内で合成されるコレステロールの量が減ります。反対に摂取するコレステロールが足りない場合は、肝臓はコレステロールを多く合成するなどして、バランスがとられるようにできています。このバランスを崩すほどのコレステロールが摂取された場合、病気を引き起こすことにもなります。

役割

LDLコレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ役割をします。まず血液に運ばれ、そこから全身を巡ります。

HDLコレステロールは、血液の中に残ったコレステロールを回収して、肝臓に運びます。回収されたコレステロールはホルモンの生成や胆汁酸の材料とされたのち、不要なものは排泄されていきます。ここで摂取したコレステロールの量が過剰な場合、血管内に放置され酸化することで動脈硬化などの原因になります。HDLコレステロールの量が少ない場合も同様のことが起こります。

もたらす影響

動脈硬化になると、血管の内側に過剰なコレステロールが溜まります。血管が狭くなり、血液が流れにくくなる状態になるのです。この動脈硬化は、心筋梗塞や脳梗塞など様々な病気を引き起こします。放置しておくのは危険であり、早急に対処することが必要になります。

基準値はどのくらい?

血液中のコレステロールが高い場合や、中性脂肪が多い場合を「脂質異常症」と呼び、診断基準が設けられています。従来は総コレステロールで測られていましたが、これだとLDLとHDLの区別がつかず、HDLが多い場合にも脂質異常症と診断されてしまっていました。そこで、それぞれのコレステロールごとに基準を設けるという方法に変わりました。

脂質異常症の診断基準

脂質異常症の診断基準としては、LDLコレステロールが140mg/dl以上、HDLコレステロールが40mg/dl未満で脂質異常症と診断されます。中性脂肪は150mg/dl以上になります。

数値ごとの判断基準を表にしてみました。

総コレステロール HDL(善玉) LDL(悪玉)
基準値 150mg~240g/dl 40mg~99g/dl 70~139mg/dl
要注意 39mg/dl以下 120mg/dl以上
危険 34mg/dl以下 69mg/dl以下 140mg/dl以上

LH比も重要

LDLコレステロールが基準値内であっても、全体の比率で病気を引き起こす可能性がある場合も指摘されています。単に個別の数値を見るのではなく、バランスが重要だということです。その比率を、LH比と言います。LH比は、「LDLコレステロール÷HDLコレステロール」で計算されます。

基準となる数値は「2」で、これよりも高いと動脈硬化のリスクがあり、2.5を超えた場合は心筋梗塞や脳梗塞などのリスクも高くなると言われています。

LDLコレステロールが少なくても、HDLコレステロールも少なければリスクは高まると言えますね。

コレステロール値が高くなる理由

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中性脂肪の増加

コレステロールの7割が体内で作られますが、3割の食事でコレステロールを摂り過ぎた場合は、肝臓でコレステロールを合成する量を減らし、調整されます。そのため、食事でコレステロールを摂り過ぎても、そのまま血中のコレステロール値が高くなるということはありません。以前は日本人の食事摂取基準にコレステロールの上限値がありましたが、2015年に撤廃されました。

とは言っても、摂り過ぎは禁物です。食べ過ぎ飲み過ぎで中性脂肪が増加すると、LDLコレステロールが増えて、HDLコレステロールが減少するという相関関係が確認されています。

喫煙

タバコもコレステロール値を上げる原因になります。タバコに含まれるニコチンは中性脂肪の合成を促し、LDLコレステロールの増加とHDLコレステロールの減少をもたらします。

運動不足

日ごろの運動不足は摂取した脂肪や糖質をうまく代謝できず、コレステロールを増やす原因になります。

女性ホルモンの低下

女性ホルモンのひとつであるエストロゲンは、LDLコレステロールを減少させ、HDLコレステロールを増やす働きをしてくれます。そのため、女性はエストロゲンが減少する閉経の前後から、LDLコレステロールが増えてきます。

代謝の衰え

年齢が高くなると代謝も衰えてきますが、若いころと同じような食生活を続けていると中性脂肪を増やすことになり、LDLコレステロールの増加、HDLコレステロールの減少という結果も招きやすくなります。

ストレス

ストレスでコレステロールが高くなることも確認されています。ストレスが増えると、交感神経が刺激されて副腎皮質ホルモンが多く分泌されます。コレステロールはもともと副腎皮質ホルモンの材料になるものです。多く分泌された結果、大量にコレステロールも合成される形になります。

基準値以下なら大丈夫?

LDLコレステロールは正常値であれば、それ以上下げる必要はありません。しかし、悪玉コレステロールはとにかく少ない方がいいという印象を持ち、食生活で過剰に調整しようとする人もいます。動物性の食品は全く摂らないなどがその例ですが、栄養不足になりやすく、病気の原因にもなります。

低すぎてもだめ

LDLコレステロール値が低すぎると、肝機能障害や甲状腺機能亢進症になりやすいという統計があります。また、がんの発症率が高い、心筋梗塞になりやすいなどのデータ報告もあります。

正常でもHDLが低いのは問題

LDLコレステロール値が正常でも、HDLコレステロールが低い場合は問題です。不要なコレステロールを取り除く働きが低くなり、動脈硬化の原因になります。

高い悪玉コレステロールを減らす

コレステロールの正常な働きを保つには、高いLDLコレステロールを減らす、低いLDLコレステロールを増やす、低いHDLコレステロールを増やすという3つのアプローチがあります。

まず、高いLDLコレステロールを減らす方法から見ていきましょう。

不飽和脂肪酸、食物繊維の摂取

不飽和脂肪酸や食物繊維はコレステロールを下げる働きをします。不飽和脂肪酸は主に魚やオリーブ油などに含まれ、LDLコレステロールだけを減らし、HDLコレステロールは維持する働きをします。

食物繊維は、コレステロールを材料とする胆汁酸を排出する作用があります。胆汁酸の排出によりLDLコレステロールが多く使われる結果、数値を下げることができます。

有酸素運動、禁煙

LDLコレステロールを増やす原因となる中性脂肪を減らすには、有酸素運動が最適です。30分以上のウォーキングやジョギングがおすすめです。また、中性脂肪の合成を促進するタバコは、やめるか本数を減らすのがいいでしょう。

ストレスの軽減

ストレスを受けないことはなかなか難しいですが、その解消法を見つけるなど、軽減する努力が必要です。

エストロゲン活性

女性は更年期以降のエストロゲン減少により、コレステロール値が高くなります。エストロゲンを活性化する食事やサプリの活用をおすすめします。大豆イソフラボンの豊富な大豆製品を多く摂りましょう。

低い悪玉コレステロールを増やす

低すぎるLDLコレステロールも病気のリスクが高いので、増やすことが必要です。

栄養を摂る

適度なコレステロールの摂取は体に必要です。動物性の食品も摂るようにしたいところです。コレステロールは食事で摂りすぎても直ちに血中総コレステロールを上げるものではなく、肝臓で調整されるのです。

卵を食べる

卵はコレステロールがありますが、非常に栄養価の高い食品でもあります。先にみたように、コレステロールの高い食品は食べ過ぎに気を付けるだけで、摂ること自体は必要です。卵は「完全栄養食品」と言われるほど栄養のバランスに優れているので、LDLコレステロールが低すぎる人にはおすすめの食品です。

低い善玉コレステロールを増やす

HDLコレステロールが低いのも、病気の因子になります。

良い食べ物

青魚やナッツ類がおすすめです。青魚などに含まれるEPA、DHAには、HDLコレステロールが多く含まれます。ナッツ類にはα-リノレン酸が多く、体内でEPAやDHAに変換されます。チョコレートや食物繊維も、HDLコレステロールを増やすという報告があります。

有酸素運動

HDLコレステロールは、中性脂肪が増えると減少する傾向にあるので、中性脂肪が多い人は、有酸素運動をすることをおすすめします。1日30分程度のウォーキングなどを習慣にしてみてください。

酸化悪玉コレステロールにも注意

最近の研究では、LDLコレステロールそのものよりも、LDLコレステロールと活性酸素が結びついた酸化悪玉コレステロールが問題とされているようです。

酸化悪玉コレステロールは心筋梗塞や脳梗塞の原因となり、注意が必要です。

コレステロールが酸化する原因

酸化悪玉コレステロールが発生する原因は、喫煙や内臓脂肪過多、高血、老化、ストレスなどで、体内に発生した活性酸素がLDLコレステロールと結びつく場合や、酸化したコレステロールを摂取した場合が考えられます。酸化したコレステロールの例としては、長期保存などで劣化したコレステロール食品や、電子レンジで何度も温め直した食品があげられます。

検査方法

酸化悪玉コレステロールの検査は、一般的な健康診断にはなく、実施している病院も限られています。保険適用が効くのは「MDA-LDL検査」というもので、3000円ほどで受けられるそうです。

悪玉(LDL)コレステロールは、 体に必要なもの。少なすぎても良くない

コレステロールは、生きるうえで必要不可欠な要素です。摂り過ぎも、全く摂らないのも問題です。カラダを健康に保つには、食事で適度に摂取するのが正解。上手にコレステロールを取り込みながら、病気知らずの毎日を送りたいですね。